労働
解雇等について
- ◆一方的に解雇された
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Q会社から一方的に解雇を言い渡されました。解雇の理由はわかりません。私はどうすればよいでしょうか。
A解雇は、使用者が一方的に労働契約を解除することです。
解雇するには、「客観的合理的な理由」と「社会通念上相当」であることが必要です(労働契約法16条)。合理的な理由がない解雇は無効となり、在職・復職できることになります。
ただし、裁判で解雇が無効と判断されても使用者が職場復帰を認めなければ、復職できないこともあります。
解雇の有効・無効を判断するためにも、会社があなたを解雇した理由を明らかにさせる必要があります。解雇理由を明らかにさせるためには、会社から、解雇の理由を記載した書面を交付してもらいましょう(労働基準法22条1項)。
会社が、解雇理由を口頭で説明している場合でも、解雇を争う審判や裁判が始まると、会社は、解雇理由の後付けをすることがあります。このため、早い段階で、解雇の理由を明らかにさせることが重要となってきます。
- ◆業績悪化による解雇
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Q会社の業績が悪いという理由で、会社から解雇を言い渡されました。確かに会社の業績がよいとは思えませんが、解雇しなければいけないほど経営が悪化しているようにも思えません。このような解雇は無効になりませんか。
A経営上の理由で人員削減のために行う解雇のことを「整理解雇」といいます。整理解雇も普通の解雇と同様に、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効となります。(労働契約法16条)
判例は
1.人員削減の必要性があること
2.会社が解雇回避の努力をしていること
3.整理解雇の対象となる者の選定の基準が妥当であること
4.労働者側との協議や説明がなされていること
という4つの要件(要素)にもとづいて整理解雇の有効性を判断すべきとしています。ただし、これらのうち一つでも欠ければ必ず整理解雇が無効となると言い切れるわけではなく、裁判になれば、総合判断で結論が出されることが多いという点には注意が必要です。
たとえば、あなたを解雇する一方で求人をしているような場合は1の員削減の必要性に疑問が生じます。あなたの部署の人員は過剰であるが、他の部署の人員が不足している場合などは配置転換をすることによって解雇を回避することが可能です。さらに、人選が不合理であったり、なんの説明もしないで突然解雇を言い渡した場合など整理解雇が無効と判断される可能性があります。
- ◆雇用保険(失業保険)について
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Q雇用保険(失業保険)の給付を受けたいのですが、これを受け取ると、解雇を有効と認めたことになるのでしょうか。
A裁判などで解雇の効力を争っている場合でも、雇用保険から給付を受けることが出来ます。しかし、失業保険を受けたことにより、解雇を認めたと受け取られないように、「仮給付」という形で給付をうけたほうがよいです。
この仮給付とは、裁判などで解雇の無効を争っている場合に、復職することができて、解雇時からの賃金が会社から支払われた際には、受給した失業給付を返還するという条件付きで、失業給付を受ける制度です。
- ◆雇止めの問題
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Q有期雇用契約を何度も更新して何年も働いてきました。このたびも、これまでと同じく契約を更新してもらえるものと期待していましたが、予想に反して会社から「もう契約を更新しない」と言われました。受け入れるしかないのでしょうか。
Aいわゆる「雇止め」の問題です。有期雇用だからといって、期間が満了すれば自由に雇止めが許されるわけではありません。
契約が過去に反復して更新されたものであって、雇止めをすることが実質的に期間の定めのない雇用契約を結んでいる労働者の解雇と同視できるような場合には、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当といえないかぎり、雇止めは認められません(労働契約法19条1号)。
また、契約が反復して更新されたことがなくても、労働者が更新されるという期待を持つことについて合理的な理由があるといえる場合も同様です(労働契約法19条2号)。
雇止めが許されるかどうかは、1.仕事が臨時的なものか、常用的なものか(常用的なものほど、雇止めが認められにくい)、2.過去に契約を更新した回数(多いほど雇止めが認められにくい)、3.雇用の通算期間(長いほど雇止めが認められにくい)、4.更新手続の態様(更新手続が形式的なものであったり、いい加減なものであるような場合、雇止めが認められにくい)、5.雇用継続を期待させるような言動や制度の存否、6.雇用継続を期待することが相当であるかどうか(他の有期雇用の労働者が長年契約更新を繰り返して働き続けているようなケースでは、雇止めが認められにくい)といった要素を考慮して判断されることになります。
働き続ける意思があるならば、会社に対して、雇止めの撤回を求めて抗議するべきです。会社の意向が変わらないのであれば、雇止めの無効を主張して労働審判や訴訟で争うことになります。
- ◆傷病休職の扱い
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Q鬱病になって休職中ですが、このまま休職が続くとどうなるのでしょうか。
A就業規則で、傷病による休職が一定期間(たとえば半年とか1年)に及んだ場合は退職となる(自然退職)と定めている会社は少なくありません。
そのような規定が存在する場合、休職期間満了時に職場復帰できるくらい鬱病が回復していなければ、退職しなければならなくなります。また、そのような規定がなくても、傷病による就労不能が長期間継続しているということで解雇の通告を受けることがあります。
そうならないように、一日でも早い職場復帰を目指して治療に専念したいものですね。
ところで、傷病休職からの復帰には、休職の原因になった傷病が治癒したこと、すなわち、以前の仕事を通常の程度に行える健康状態に回復したことが必要です。鬱病など、目で見て分かる傷病ではない場合、治癒したかどうか不明確なことが多いので、医師と相談のうえ、ご自身の病状を客観的に把握することが重要です。
残業代について
- ◆残業代の請求(訴訟)
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Q残業代を会社に請求しましたが、一向に支払ってもらえません。そこで訴訟を考えているのですが、訴訟をする際に必要な資料はありますか。
A(1)未払い残業代の要件
労働者が使用者に対して訴訟において未払い残業代等を請求するためには、1,労働者と使用者との間に労働契約があること、2,残業代等についての合意・規則がある場合はその内容、3,割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金額、4.時間外労働等の存在及びその時間数を主張・立証していくことになります。
(2)労働契約
労働契約の立証については、雇用契約書や労働条件通知書、これらの資料がない場合には、給与明細書等が必要となります。
(3)残業代についての合意・規則
時間外労働等の手当や割増率が雇用契約書や労働条件通知書、就業規則に定められている場合には、これらのものが立証に必要となります。
ただし、これらが存在しないとしても、労働者は、使用者に対して法定の割増率に基づき請求できます。(労基法32条、37条)
(4)基礎単価
時間外残業代を計算するために、時間外残業の計算の基礎となる1時間当たりの単価(基礎単価)の計算をする必要があります。
基礎単価を計算するためには、例えば月給制の場合には、月間又は1年間の所定労働日数、1日の所定労働時間と賃金の内訳及び金額が分かる資料が必要となるので、雇用契約書や労働条件通知書、賃金規定を含む就業規則、給与明細書等が必要となります。
(5)労働時間
労働時間の立証については、漠然と「1日に1時間ほど残業していた」という労働者の陳述だけでは足りず、1日ごとに具体的な残業時間の主張立証を必要とします。
会社にタイムカードがあり、出社時刻、退社時刻が実態を反映している場合には、タイムカードの写しが労働時間を証明する資料といえます。
タイムカードがない場合でも、出社時刻、退社時刻の記載がある日報や、会社で使用しているパソコンのログオン・ログオフの履歴、トラック運転手等の場合に車のタコメーターの記録などで労働時間を把握した裁判例もあります。
どのようなもので労働時間を把握できるかお困りの際には弁護士にご相談下さい。
- ◆残業代の請求(役職と時効)
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Q私は、部長になって5年間、毎日残業をしていますが、会社から残業代を支払ってもらえません。この前、会社に残業代を請求したところ、会社からは、管理職だから残業代を支払う必要はないと言われました。(1)私は残業代をもらえないのでしょうか。(2)また、残業代は5年前にさかのぼって請求できるのでしょうか。
A(1)管理職の残業代
部長という肩書きがつけば、直ちに残業代を支払わなくてもよいということはありません。
法律で定めている残業代を支払わなくてもよい「管理監督者」(労働基準法41条)は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいうとされており、職務内容、責任、権限、勤務態様という実体面、基本給や役職手当等にふさわしい待遇の有無等を考慮して実体に即して判断されます。
部長という肩書きがあっても、経営方針に参画する立場になく、従業員の採用権限がない、勤務時間に裁量もなく、給料も多いとはいえないという方は、管理監督者に当たらず、残業代がもらえる可能性があります。
「管理監督者」に当たるかどうかは、具体的事情から判断しなければならないので、お困りの際には弁護士にご相談下さい。
(2)残業代の時効
労働基準法上、残業代等の賃金に関しての請求権は、2年間の消滅時効にかかる(労働基準法115条)ため、消滅時効の中断が無い限り、5年前にさかのぼって請求することは難しいかもしれません。2年間に限り残業代の請求が可能です。
消滅時効の中断とは、それまで経過した時効期間が全て効力を失うものです。たとえば、あなたの例でいくと消滅時効の中断があると、消滅時効が成立するのが、中断事由があったときから、さらに2年後となります。
消滅時効の中断事由としては、裁判上の請求、承認(民法152条)等があります。
単に会社に請求するだけでは、裁判上の請求とはいえず、時効は中断しません。請求から6ヶ月以内に裁判所に提訴することなどが必要です。
残業代請求をお考えの際には、是非お早めに弁護士にご相談下さい。
- ◆残業代の他に請求できるもの
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Q残業代の他に会社に請求できるものはありますか。
A(1)残業代以外にも付加金と呼ばれるものの支払いを裁判上請求できます。
労働基準法上、時間外、休日、深夜労働にかかる割増賃金の支払義務などに違反した場合、義務に従い支払わなければならない金額につき、未払い金の他、未払金と同一額の付加金の支払いを裁判所は命じることができるとされています(同法114条)。
付加金は、使用者に対する制裁規定ともいえるものですが、必ず命じられるわけではりません。
(2)他に、遅延損害金を請求することができます。賃金請求の遅延損害金の始期と利率は、賃金支払日の翌日から年5パーセントですが、相手が会社である場合には、年6パーセントの遅延損害金をつけることができます。さらに退職していた場合は、退職の日の翌日から実際に支払われる日までの間について、年14.6パーセントの遅延損害金の請求が可能です。(賃金の支払の確保等に関する法律)
- ◆給与と残業代の区別
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Q会社に残業代を請求したところ、会社から毎月支払う給料の中に残業代は含まれているとか、定額の手当を支払っているからと言われ、残業代の支払いを拒否されました。
私は残業代をもらうことはできないでしょうか。A残業代を給料に含めて支給するということも許されますが、その場合は、その給料のうち、時間外労働等に対する割増賃金の部分と通常の賃金の部分とが明確に区別されていることが必要です。労働者が自分の残業時間に見合った残業代が支払われているのか否かを確かめることができなければなりません。そのような区別がなされていなければ、あなたは会社から残業代をもらうことができます。また、そのような区別がなされている場合でも、給料に含めて支払われた残業代が、実際のあなたの残業時間に相当する割増賃金の額を下回っていれば、その差額をもらうことができます。
残業代として定額の手当を支給するという形態もあり得ますが、その手当が実質的に時間外労働等の対価といえなければなりません。単に職責に対して支払われる手当は残業代とみることはできませんので、その場合は会社から残業代をもらうことができます。また、手当が実質的に時間外労働等の対価としての実質を備えている場合でも、手当の額が、実際のあなたの残業時間に相当する割増賃金の額を下回っていれば、その差額をもらうことができます。
- ◆残業代と残業命令について
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Q会社に残業代を請求したところ、会社は、残業を命じていないのにあなたが勝手にやっただけだと言われました。会社の業務量が多くとても所定の労働時間内に処理できず、やむをえなく残業をしていました。
私は残業代をもらうことはできないでしょうか。Aたとえ会社から明示的に残業を命じられていなくても、業務量が多くて所定の労働時間内に処理ができず、会社もそのことを承知していれば、黙示の残業命令があったとみなされることが多いです。ご相談のケースでも残業代をもらうことができます。
労災について
- ◆精神疾患と労災
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Qパワハラや長時間労働が原因でうつ病になってしまいました。労災で補償されるでしょうか。
A労災保険とは、労働者災害補償保険法に基づく制度で、「業務上災害」又は「通勤災害」により、労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災労働者又はその遺族に対し、療養、休業、障害、死亡に対する保険給付(労災補償)を行う制度です。業務上災害にあたるか否かは労働基準監督署長が認定しますが、うつ病の発症が業務上災害とされるためには、パワハラや長時間労働などの業務上のストレス(「業務による心理的負荷」という)と発病との間に因果関係がなければなりません。
労基署では「心理的負荷による精神障害の認定基準」(以下「認定基準」という)を定めて、これに基づいて因果関係の認定をしています。
認定基準によれば、上司が部下の人格や人間性を否定するような言動を執拗に行ったことがうつ病の発病の原因になった場合には業務上災害と認定されます。
長時間労働も、たとえば発病直前の3ヶ月間連続して1月当たり100時間以上の時間外労働を行ったような場合には業務上災害と認定されますが、業務ストレスには様々なものがあり、労働時間の長さだけでストレスの強度が判定されるわけではないので、1月あたりの時間外労働が100時間未満でも業務上災害とされる場合もあるので、個々のケースについてそれが業務上災害といえるか否かについては是非とも弁護士にご相談下さい。
- ◆個人業務請負と労災
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Qトラック運転手なのですが、契約上は個人業務請負となっています。業務中に交通事故に遭いケガをしてしまいました。労災保険が適用されるでしょうか。
A労働者災害補償保険法による保険給付は「労働者」を対象としています。したがって、トラックの運転を業務としている労働者がその業務の遂行中に交通事故に遭って負傷した場合には「業務上災害」として労災補償を受けることができます。
ところが、本文の運転手は雇用契約により雇われている労働者ではなく、「個人業務請負契約」を締結しており、契約上は「個人請負業者」とされています。このような場合、労働者災害補償保険法の適用のある「労働者」といえるか否かは、契約の名称に関わらず実態に即して判断することとされています。
業務委託や請負といった名称の契約に基づいて就業する者であっても、その働き方の実態から労働者と判断される場合には労災補償を受けることができます。労働者といえるか否かについては、「事業主の指揮監督下に置かれているか否か」(仕事の依頼・業務の指示に対する諾否の自由、業務遂行上の指揮監督の有無、拘束性の有無、代替性の有無)、「報酬が労務の代償といえるか」などを基準に判断されますが、トラックの運転手の場合は、実質は雇用労働者であると認定される場合は少なくありません。
その他の請求について
- ◆セクハラの賠償請求
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Q上司からセクハラを受けて会社を辞めざるをえなくなりました。上司や会社に対して 何か請求できますか。
Aセクシャルハラスメントには、対価型(上司がその地位・権限を利用して性的要求を行い、それに応じない場合に解雇その他の不利益を課す場合)と環境型(性的言動によって職場環境を悪化させるタイプ)があります。
セクハラは、労働者の「働きやすい職場環境の中で働く利益」や「性的自由ないし性的自己決定権という人格的利益」を害するので、それが悪質で社会通念上許容される限度を超える場合には違法な行為となります。
その行為が違法か否かは、行為態様の悪質さ、反復継続性、不快感の程度、行為の目的・時刻・場所、加害者と被害者との間の職務上の地位・関係などを基準に判断されます。
したがって、セクハラが悪質で違法である場合に、被害者が退職せざるを得なくなった場合には上司及び会社に対して損害賠償の請求が可能です。
- ◆退職金がもらえなかった
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Q会社の就業規則には退職金がもらえることや、支給額の計算方法が規定されているのですが、業績不振を理由にもらえませんでした。どうすればよいのでしょうか。
A就業規則で退職金を支給することや支給基準が定められている場合は退職金請求権が認められます。退職金請求権の根拠となる就業規則を入手したうえで、会社に請求してください。懲戒解雇等の、退職金を不支給とする条項に該当するといった事情がなければ、原則として会社は支払いを拒めません。
あなたの知らないうちに会社が就業規則を変更して退職金制度を廃止してしまっていることもあり得ますが、そのような場合でも諦めてはいけません。退職金のような、労働者にとって重要な権利に関して不利益を及ぼす就業規則の変更は、高度な必要性に基づいた合理的な内容でなければなりません。程度にもよりますが、単なる業績不振では退職金制度の廃止に合理性を認めることは難しいでしょう。変更前の就業規則を入手したうえで、会社に退職金を請求してください。
手続きについて
- ◆解雇の裁判手続き
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Q不当解雇を争う裁判手続としては、どのようなものがありますか。
A(1)訴訟の提起
訴訟を提起する場合には、一般的には、解雇が無効であることを前提として労働契約上の権利を有することの確認と、解雇されて以降の賃金を請求していくことになると思われます。
(2)仮処分の申立て
訴訟を提起し、争う場合、すぐには解決しませんので、その間、労働者は給料をもらえず、経済的に困窮してしまいます。
このような場合に、訴訟での結論が出るまでの暫定的な措置を定める手続である仮処分をとることが考えられます。
仮処分が認められれば、本訴での裁判所の判断が出て無くても、その間、賃金の支払を受けたりすることができるようになりますが、「保全の必要性」、すなわち当該労働者の経済的な困窮については、厳しく判断されます。
また、仮処分の決定が出たとしても、給料全額ではなく必要生活費の限度という例が多いです。
具体的な事情については、弁護士にご相談下さい。
(3)労働審判
労働審判の場合も、訴訟の場合と同じ労働契約上の権利を有することの確認と解雇されて以降の賃金を請求していくことになると思われます。
手続の詳細については、「労働審判」の項目をご参照下さい。
- ◆労働審判
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Q通常の裁判とは違う、労働審判というものは何でしょうか。
A労働審判手続は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、個別労働紛争(解雇や残業代請求等)を原則として3回以内の期日で審理し、調停による解決を試み、調停による解決に至らなかった場合には、労働審判を行うという手続です。労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、訴訟に移行します。
労働審判のメリットは、訴訟に比べて迅速な解決を期待できることです。解決内容が当事者双方で折り合えば1回で解決することもあります。また訴訟とは違い、法的権利にとらわれず、柔軟な解決が可能といえます。
労働審判のデメリットとしては、解雇事案の場合には、金銭解決を勧められることが多く、復職は望みにくいことがあります。また、金銭解決の場合の支払額の水準は訴訟よりも低いことが多いです。さらに、訴訟に移行した場合、労働審判の審理を引き継ぐわけでは無いので、一からやり直しになります。
事案によっては、労働審判ではなく、訴訟から始めたほうがよい場合もあります。労働審判をするか訴訟をするかはお困りの際には、弁護士にご相談下さい。