取扱業務

交通事故

交通事故にあってしまったら

交通事故発生から解決までの流れ

Q交通事故発生から解決までの流れを教えて下さい。

A交通事故にあえば、加害者と加害者が契約している保険会社の連絡先を確認しましょう。そして、負傷すれば入院したり通院したりして治療をしなければなりません。その時たちまち治療費をどうするかに直面します。
加害者が100%悪い場合には、加害者の保険会社が病院と連絡をとって加害者の保険会社が支払ってくれるはずです。あなたの健康保険を使ってくれと言われても従う義務はありません。ただ、あなたに過失がある場合には、あなたの健康保険を使うことも検討します。治療費以外のものについては、仕事ができなくなり収入が途絶えた場合には、暫定的に毎月いくらかの「休業補償」を支払ってもらうように交渉します。
その他の損害(入通院慰謝料、後遺障害が残った場合の慰謝料等の損害など)は、治療が終わって完治した、あるいは「症状固定」した(これ以上治療しても良くも悪くもならない状態)時に最終的な損害を計算していきます。ただ、後遺障害が残った場合には、担当医師に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」という所定の用紙を使って診断書を書いてもらい、加害者の加入している自賠責保険の保険会社へ後遺障害の認定請求をします。
2、3ヶ月で判断がでて、不服であれば異議申立をして再度審査してもらえますが、これでいいということならその後遺障害等級を前提に損害を計算します。それを加害者あるいは加害者の保険会社に請求し、交渉し、折り合いがつけば示談成立ですが、納得できる金額の提示がなければ調停、訴訟等の手続をしていきます。

賠償を請求できる損害の種類

Q自動車事故の被害者が加害者に賠償を請求できる損害の種類はどのようなものがありますか。

A積極損害と言われるものとして、治療関係費、付添看護費、入院雑費、通院交通費、葬儀関係費用、消極損害と言われるものとして、休業損害、後遺障害(あるいは死亡)による逸失利益があり、死亡、傷害、後遺障害に応じた慰謝料も請求します。そして、訴訟になれば、弁護士費用として全損害の1割程度も損害として請求します。あと、自動車の物損の損害ももちろん請求できます。

後遺症が出た場合

Q医師から後遺障害があると言われました。今後どのような手続きをとったらよいでしょうか。

A後遺障害が残る場合には、後遺障害が残存すること自体による精神的苦痛に対する慰謝料を、後遺障害により減収が生じる場合などには後遺症により将来得られなくなる収入(逸失利益といいます)を加害者に請求できることになります。これらの請求をするためには、後遺障害の具体的な状態(部位、種類、程度など)を主張立証する必要があります。

もっとも、その主張立証にあたっては、実務的には、自動車損害賠償保障法(自賠法)施行令2条に関する別表が定める各後遺症(後遺症を系列、部位ごとに整理しており、程度に応じて1級から14級までの等級を定めています)に該当することを主張立証することが一般です。そして、同別表が定める後遺症に該当することについては、まずは自賠責保険において後遺症の認定を受けることを考えなければなりません(一般的に「後遺症認定」を呼称されるのはこのことです)。自賠責保険において認定がなされれば、裁判(ひいては加害者との交渉)でもそのような後遺障害が存在すると認められる可能性が高く、逆に認定を受けられなければ裁判でもそのような後遺障害がないとされることが多いといえます。

自賠責保険において後遺症認定を受けるためには、まず自賠責保険が様式を定める後遺症診断書を医師に作成してもらう必要があります。その場合は、具体的な症状(特に他覚所見)をしっかり記入してもらう必要があります。その上で、加害者が加入する自賠責保険に対し「被害者請求」を行うことで後遺症の有無について判断を受けることができます(なお、被害者請求によれず加害者加入の任意保険に委ねることもできます)。被害者請求については、各保険会社が、手続方法を説明し必要となる書類の書式を一式にまとめた冊子を発行しており(後遺症診断書の書式もこの冊子にあります)、これは各保険会社に請求すれば入手できます。

自賠責保険会社から後遺症の認定を受けることができれば、通常等級ごとに定められた支払上限額が支払われます。そしてこの金額で填補されない損害がある場合には、その金額を計算した上で加害者に対し請求することになります。

後遺症の認定を受けられない又は自分が想定していた程度よりも軽い等級の認定しか受けられない場合には、自賠責保険会社に対し異議を申立てることができます。異議を申立てることのできる回数に制限はありませんが、それなりの資料を準備して異議の申立てをしなければ、当初と異なった認定を受けることができることはあまりありません。

仮渡金請求について

Q保険会社との交渉がまとまるまでの生活費を確保するために、損害賠償や補償を受けられないですか。

A加害者加入の任意保険会社に対しては、交渉が最終的にまとまる前でも、治療費のほかにも休業損害などを支払うという対応をすることがあります(ただし、被害者の過失割合が高い場合などの事情がある場合にはそのような対応をしないこともあります)。ですので、まだ治療の途中であっても任意保険会社に支払を行うよう交渉すべきといえます。

任意保険会社による対応がなされない場合などには、加害者加入の自賠責保険の仮渡金請求という制度を利用することが考えられます。交通事故による被害を受けた場合には、すぐに生活費や医療費について支払を受ける必要な場合も多いといえます。しかし、例えば自賠責保険会社に被害者請求を行っても支払までにはある程度時間を要します。そこで、自賠責保険には、死亡や一定以上の傷害を受けた場合には被害者請求することで1週間で一定の基準(死亡の場合290万円、傷害の場合は5万円〜40万円)の支払いをするという制度(仮渡金)があります。

健康保険の使用について

Q交通事故の治療に健康保険を使ったほうがよいでしょうか。

Aわが国には国民皆保険制度がありますので、病気やけがをした場合は健康保険を使って医療機関で受診すれば、患者は実際の医療費の2〜3割を負担するだけで済みます。 医療機関は社会保険診療報酬支払基金や国保連合会に残りの医療費(7〜8割)を請求することになります。

健康保険を使った場合、あなたが治療を受けた医療機関(保険診療機関)は実施した診療内容にもとづき、これを点数化した診療報酬明細書(レセプト)を作成して診療報酬を請求することになります。診療報酬点数は厚生労働省が定めて告示しています(健康保険法76条)。(1点=10円で計算されます)。但し、保険診療には非常に細かい規定があり、各疾患に応じて検査や治療内容等はその制限内で行われなければなりません。

これに対し、健康保険を使わない場合は、自由診療といって医療機関と患者が自由に個別の契約を行い、その契約に基づいて診療が行われることになります。この場合の治療費は全額患者の自己負担となります。「自由」という名称のとおり、治療費(初・再診料その他を含む)はその医療機関が独自に決めることができます(交通事故の場合、1点=12〜20円としていることが多い)し、治療の方法や処方する薬にも保険診療のような制約はありません。

したがって、全く同じ治療をしてもらっても、医療機関が受け取る報酬額は自由診療の方が保険診療よりも高額になります。また医療機関は社会保険診療報酬支払基金ないし国保連合会に報酬を請求する手間もかかりません。

交通事故による負傷の治療費は損害保険により支払われることが多いので、その場合は自由診療によることが当然視され、医療機関の側は治療費を当たり前のように自由診療として保険会社に請求し、被害者は治療費の額には関心を払わないことが多いのです。

しかし、本来は保険診療と自由診療のいずれにするかは患者が任意に選ぶことになっているのです。

厚生労働省も、昭和43(1968)年10月に課長通知を出して、「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変りがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるように指導されたい」と注意を喚起しています(昭和43年10月12日保険発第106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」)。

なお、保険診療の場合は、被害者が窓口で2〜3割の自己負担分をいったん支払った後に、これを損害として加害者(保険会社)に請求しなければなりませんが、保険診療を使ったからといって被害者側の負担が増えることにはなりません。

それでは、健康保険を使った方がよいのか否かについて考えてみましょう。

事故の発生について被害者側にも落ち度がある場合があり、その場合は「過失相殺」といって被害者の落ち度の内容・程度を考慮して賠償額が減額されることがあります。損害保険会社が任意保険によって治療費を支払う場合には過失割合に応じて支払います。

たとえば、治療費の総額が自由診療によると100万円、健康保険によると50万円になり、被害者にも40%の過失がある場合、損害保険会社が支払う治療費(自由診療)は60万円(100万円×60%)となり、40万円が被害者の自己負担となります。

これに対して、健康保険を使うと、被害者が窓口で支払う金額(3割負担の場合)は15万円(50万円×30%)になり、かつ自己負担した15万円の内9万円(15万円×60%)が後に損害保険会社から支払われるので、最終的な被害者の自己負担額は6万円になって、自由診療の場合よりはるかに負担が少なくなります。

また、加害者が不明であったり、加害者が任意保険に加入していないような場合には自賠責保険により治療費が支払われることになりますが、この場合、自由診療によると治療費が割高となるので自賠責保険の支払限度額120万円はたちまち治療費に費やされてしまうので、保険診療にすべきであるということになります。

なお、保険診療の場合は、「第三者行為による傷病届」の提出が必要なので、手続きが煩雑になりますが、加害者の加入している任意保険によっては「第三者行為による傷病届」の作成も保険会社がサポートしてくれることがあります)。

通勤途上の交通事故について

Q通勤途中の交通事故で負傷した場合、治療費は労災保険で請求したほうがよいでしょうか。それとも自賠責保険のほうがよいでしょうか。

A通勤途上の交通事故で負傷した場合、「通勤災害」に該当する場合には、労災保険に対して保険給付を請求することができます。また、加害者が加入している任意保険や自賠責保険に対しても保険請求が可能です。

労災保険と自賠責保険のどちらが優先されるかについて、法律上の規定はなく、被害者はどちらを使うかを自由に選択することができます(ただし、労災保険と自賠責保険で同じ費目を二重取りすることはできません)。

労災補償の場合は「通勤災害」に該たるか否かの審査をしなければならないので、自賠責保険による方が損害賠償額の支払が事実上速やかに行われることがあるので、労働基準監督署は自賠責保険への請求を先行させるよう求めることが多いようですが、被害者が労災補償を希望した場合にはこれを拒むことはできません。

労災保険と自賠責保険との大きな違いは、自賠責保険には120万円支払限度額があることです。

また、労災保険による診療は1点12円とされていますが、自賠責保険による場合は自由診療として制約はない(1点12円ないし20円とすることが多い)ので、治療が長引くと自賠責保険の場合は治療費だけで支払限度額120万円を超えてしまうことがあります。

労災保険には慰謝料がありませんので、慰謝料は自賠責保険や任意保険に請求するしかありません(自賠責保険の場合は支払限度額があるので、自賠責保険を優先して使用して治療費が120万円を超えてしまうと、慰謝料の出所がなくなってしまうことは前記のとおりです)。

休業補償については労災保険の場合は6割しか補償されないので不足の4割については休業損害として自賠責保険に請求することになります。治療費で自賠責保険の支払限度額を超えると加害者に請求するしかないことになります。なお、労災保険では特別支給金として2割が支給されますが、特別支給金は休業補償金として支払われるものではないので休業損害から控除する必要はないので、4割の不足分が自賠責保険や任意保険から支払われると、結果として12割の支払いを受けることが可能になります。

被害者の側にも落ち度がある場合、労災保険でも自賠責保険でも原則として過失相殺はされませんが、加害者が任意保険に加入している場合には保険金請求をすると過失相殺されます。

このように労災保険、自賠責保険、任意保険では取り扱いに違いがありますが、いずれにしても、負傷の程度、事故の態様(被害者側に落ち度があるか否か)、業務の内容、加害者が任意保険に加入しているか否か等によりどのような方法をとることが合理的なのかは異なってきますので、早めに弁護士に相談された方がよいと思います。

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