コラム
2023.01.31
映画「家族を想うとき」を観て
先日、コープ自然派兵庫さんらの「いのちと暮らしの映画祭」にこどもシェルターの活動で参加してきました。
上映された映画は、ケン・ローチ監督「家族を想うとき」(2019年イギリス映画、原題は「Sorry we missed you」)でした。
心に余韻を残す内容で、細部の描写もリアルでみごたえがありました。
運送業で働く父の偽装請負が問題のベースにあり、格差社会、貧困など根深い社会の現実を突きつけられました。ひと昔前の炭鉱労働者をテーマにしたイギリス映画を想起させましたが、現在は非正規雇用問題が世界的にも深刻化していることを再認識しました。
主人公が宅配で尋ねて行った先で、出てきた家の人とサッカー談義で盛り上がり、最後は互いにキレるところが、いかにもイギリス映画らしかったです。
思春期の息子が反発して学校をさぼり家を出て行くのですが、家族のピンチには戻って来て寄り添うことができていて、愛着関係ができている家族だと思いました。問題は社会にありきっとあの息子は何があっても大丈夫なのかなぁと。
主人公が抱えていた問題は、労働法や破産でなんとか乗り越えられそうな面もありましたが、現実社会ではさらに、複雑で困難な事例もあるのだろうと思います。色々と考えさせられる映画でした。
(弁護士 野田倫子)