神戸花くま法律事務所

コラム

2019.05.19

あるべき年金制度(最低保障年金制度)の確立を!

 誰もが老後の命綱として,年金を頼りにしています。しかし,政府は,「年金制度改革」と称して,実際は年金の切り下げを一方的に強行し,また,強行しようとしています。

 年金制度は,確かにわかりにくく,専門家に言わせると,わかっているのは厚労省の官僚のごく一部とさえ言われています。相次ぐ年金支給額の切り下げに対し,全日本年金者組合が全国でその違憲性,違法性を指摘し,政府によるかってな切り下げを許さないという訴訟をおこしています。全国では,5000人以上,兵庫県でも述べ130人の方々が訴訟に立ち上がっています(2019年4月現在)。

 年金額は物価スライド,賃金スライドが原則ですが,政府は,物価が上がっても年金額を切り下げる仕組みを導入しました。基礎年金は満額でも月額65,000円程度です。これでは憲法25条が保障する「健康で文化的な生活」にはほど遠く,介護保険料等が差し引かれ可処分所得は減り続け,高齢者の貧困がかってなく広がっています。今の年金額を切り下げれば,現役世代の年金額が決して保障されるものではなく,「世代間の公平」と称して世代間の対立をあおろうとする政府の間違った宣伝を打ち破って,ムダなお金の使い方を改めて,年金受給世代も将来年金を受け取る現役世代も共に安心できるあるべき年金制度の確立(最低保障年金制度)を求めていきましょう。

(弁護士 佐伯雄三)

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