事務所ニュース

◆バックナンバー

2011年


第2回 くらしの法律講座

法律…というと難しいと思われるかもしれません。
しかし私たちの暮らしは法律と無縁ではなく、ちょっとした知識が身を守り、自分を助けてくれることもあります。
神戸あじさい法律事務所では、6月に続き第2回の法律講座を開催することになりました。暮らしに身近な法律問題について、豊富な経験にもとづき、分かりやすく解説する市民のための法律講座です。

11月26日(土)午後2時から4時
相続・遺言書
今できる 万一の時の備え
【講師】 桑原至弁護士

12月17日(土)午後2時から4時
交通事故
交通事故にあったら?
交通事故を起こしたら?
【講師】 瀬川嘉章弁護士

1月21日(土)午後2時から4時
賢い消費者になるために
悪徳業者に騙されないように
【講師】 増田正幸弁護士

会場
三田市商工会館会議室
三田市天神1-5-33

参加費無料(各回別々、事前に下記までお申し込み下さい)

電話079-553-8815
ファクス079-553-8816

弁護士法人神戸あじさい法律事務所・三田事務所


宮地奈央弁護士退所のご報告

この度、宮地奈央弁護士が子育てのために、11月末日をもって退所することになりました。

宮地弁護士は4年前当事務所に入所し、女性弁護士として誠意で熱意のこもった活動は皆さまから信頼をいただき、将来を大いに期待されていただけに非常に残念なことでありますが、やむを得ずの退所となった次第です。

宮地弁護士は当事務所は退所しますが、今後も夫君の法律事務所(大阪)の一員として育児と両立させながら弁護士業務を続けることになっています。

これまでに宮地奈央弁護士寄せられたご支援ご厚情に厚く御礼申し上げますとともに、宮地奈央弁護士の今後にも励ましを与えて下さいますようお願い致します。


事件報告1 裁判員裁判を経験して

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 桑原至

裁判員制度発足から2年。皆さんは裁判員裁判にどのような印象をお持ちでしょうか。既に裁判員を経験された方もいらっしゃるかもしれません。 遅ればせながら、このたび、私も弁護人の立場で裁判員裁判を経験しました。

事件の内容について詳しく言及することはできませんが、罪名は傷害致死で、無罪を争う事案でした。争点は複雑かつ多岐にわたり、中には医学的な見地からの検討を要する極めて難解なものも含まれていました。

力及ばず、2週間の審理を経て、懲役5年の実刑判決が言い渡されましたが、このような複雑で難解な事案を2週間程度の期間で十分に審理し尽くせたのか、疑問が残る結果でした。判決理由はシンプルかつ表面的な内容にとどまり、大きな争点であった犯行動機についても一切判断がなされておらず、被害者遺族の一番の関心事である「事件の真相」が結局何も明らかにされませんでした。短期間のうちに判断を下さなければならないという裁判員裁判の性質上、十分時間をかけて踏み込んだ議論をすることができず、「無難な」結論を取らざるを得なかったのかもしれません。

裁判員を長期間拘束することのないように短期間の集中審理の形態がとられる裁判員裁判ですが、迅速性を優先するあまりに拙速裁判となってしまっては本末転倒です。事案によっては、じっくりと時間をかけ、十分に議論を尽くすことも必要ではないでしょうか。今後の課題の一つと言えるでしょう。


事件報告2 「ゆうメイト」一方的な雇止めには屈しない

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 宮地奈央

以前は郵便局の「ゆうメイト」、郵政民営化以降は「期間雇用社員」となって長年にわたり主に郵便配達業務を担当してきたベテラン職員が今年3月末で契約更新を打ち切られ(「雇止め」)ました。

会社からは赤字解消のためとしてこれまでよりはるかに劣る労働条件が提示され、これに応じなかったところ雇止めとなりました。

会社は、ペリカン便との事業統合が失敗したことで赤字を抱えていると言われていますが、大規模会社であることや赤字の要因が一時的なものであること等からすると、経営に極めて深刻な事態を及ぼすほどの赤字ではなく雇止め必至の状況にはありませんでした。にも関わらず、会社は不利益な労働条件の変更を持ちかけただけで、何ら雇止めを回避するような努力をしませんでした。

また、会社は団体交渉を頑に拒み、雇止めに至るまでに十分な協議もなされませんでした。今回雇止めの対象となったのは特定の労働組合に加入していた者ばかりです。彼らは正社員と同様の業務をミスなくこなしており雇止めの対象となる理由が見あたらないことから、人選に組合差別の意図が強く働いたと言わざるを得ません。このような状況でなされた雇止めは無効と考えられますから、現在彼らの従業員たる地位の確認と、雇止め以降の賃金の支払を求めて裁判をしています。

各種メディアでも報道されているとおり、今年3月同様の雇止めが全国で行われており、裁判となったケースも多いと思います。全国の裁判所の判断も注目されます。


震災と原発

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 深草徹

1、被災地を訪ねて

私は、岩手県商工団体連合会(以下「岩商連」といいます。)と連絡をとり、5月4日、5日と、被災地に入り、被災者の法律相談活動を行ってきました。

岩商連が法律相談活動の場として選んでくれた被災地は、陸前高田でした。

陸前高田は、盛岡から車で約3時間。5月4日朝、一旦、岩商連事務所に立ち寄り、そこから、盛岡民商事務局員の運転する車で、現地へ。

午後1時前、陸前高田民商事務所に到着。全国からの支援を受けて建てられたプレハブ造りの仮設建物で、ここを拠点として、役員さんたちが、全国から応援に駆けつけた支援者とともに、市内に点在する孤立集落にとどまっている被災者に対する日常生活用品、食料品などの救援物資の配布活動と元気づけ活動をおこなっていました。

5月4日の法律相談は、法律相談会をするとういうことが5月2日に決まってから、急いで案内ビラをつくり、ハンドマイクで宣伝をしたとのことでしたが、それでも2件ありました。

5月5日、朝、大船渡民商に泊まり込んでいた人たちの車に同乗し、陸前高田民商仮設事務所に行き、午前中は皆と一緒に、救援物資の配布活動に加わり、ハンドマイクを借りて、兵庫県から来た弁護士だと名乗って、法律相談の宣伝を行いました。その効果があったのか、5月5日の法律相談は5件ありました。

2日間6時間の法律相談で、7件というのは少ないかもしれませんが、むしろこの程度の準備で7件もあったのは被災者の中に、多くの困難な問題のある証拠でしょう。

2、フクシマから、今こそ、脱原発を

私たちの子供時代は、湯川秀樹博士が中間子理論でノーベル賞に輝くなど、理論物理学全盛の時代でした。高校時代、理系の最も優れた人は、今と違って理論物理学を学ぶことを目指しました。私たちの時代のスローガンは、「原水爆禁止」とともに、「原子力の平和利用」でした。キューリー夫妻、ラザフォード、ハイゼンベルグ、アインシュタイン、ニールス・ボーア、湯川秀樹…きら星のような理論物理学者らが切り開いた原子の世界。原子力を殺戮の兵器として使うのは勿論反対だが、平和利用は当然のことである、私もごく素朴にそう考えていました。

しかし、今思うと、体制側は、「原水爆禁止」に対しては、アメリカの核の傘に入ることにより、「原水爆」を肯定して行ったのと軌を一にして、原子力村と呼ばれる政官業学の癒着構造のもとで、安全神話を作り上げ、無謀な原子力発電に狂奔し、甘い、甘い原子力の蜜に群がり「原子力の平和利用」を、有名無実のお題目と化し、原子力を金のなる木に変えてしまっていたのです。

私は、1979年のスリーマイル・アイランドの原発事故のときも、1986年のチェルノブイリ原発事故のときも、「原子力の平和利用」の考えを根底から疑うことはしませんでした。しかし、3.11以降、「原子力の平和利用」の内実が、いかにおぞましいものであったか知って、私も、やっと目がさめました。

あってはならない全電源喪失、核燃料の炉心溶融、これらに対して何ら有効な手だてを打てず、次々と起る大爆発を手を拱いて見守るだけの技術陣、放射性物質の大量放出、二転三転する発表とその場しのぎの周辺住民への対策、ヘリコプターや消防ポンプによる放水、小出しの情報と希望的観測の垂れ流し…。きらめくような人類最高の頭脳が授けてくれた「原子力の平和利用」の現場が、こんなものであったのかと知って愕然とするばかりでした。

3月11日から3月20日ころまでの間は、そのような感傷の時期でした。しかし、この感傷の時期を過ぎ我に返ると、こうした事態を招いたことには、時代の同伴者として、私にも何がしかの責任がある、だから未来のために今こそ、原子力発電からの撤退の声をあげなければならない、そのためには原子力発電の勉強をしよう、そして行動に移そうと思うようになりました。

ともに行動しましょう、脱原発へ。


三田事務所に赴任して

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 前哲夫

増田正幸代表の挨拶にもありますように4月1日から事務所を法人化し、従たる事務所(いわば支店)として三田事務所を設立、私が所長として、高島事務局員とともに赴任しました。三田事務所の所員としては、この2人ですが、神戸事務所(いわば本店)からも、随時応援に入りますので、安心してご相談いただけます。

三田には、1984年に元市議の川東誠市さんが中心になって作っていただいた「くらしと権利を守る三田友の会」があり、私たちにもなじみのある土地ですので「第1号支店」となりました。4月29日の開設レセプションの準備をはじめ、三田事務所の存在を知っていただくために、地元の皆さんにご尽力いただきました。それでも開所当初は「閑古鳥さえ鳴きに来ないのではないか」と心配していましたが、先月1ヶ月で11件の新相談がありました。音を上げるほど、忙しくなるかどうかは、これからの私たちの努力如何にかかっていますので、大いにがんばりたいと思います。


ランニングのすすめ

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 和田壮史

皆様、運動しておられますか?私は、最近、ランニングを始めました。以前から、たまにジムに行ってランニングマシンで走っていたのですが、この2か月ばかり、外を走っています。天候に左右されないランニングマシンも快適なのですが、やはり風を感じつつ流れる風景の中を走ることが出来る点で、外走りは魅力的です。

私がやっているのは、JR、阪急、阪神沿線等を走り、疲れたら電車に乗って帰って来るという方法です。帰りの体力を心配しなくても良いのが利点です。(帰りの電車で周りの乗客の方々にはご迷惑かも…スミマセン)ウロチョロ走り回っていると、面白いお店や不思議なスポットなど、普段の移動では分からない様々な街の側面を見ることもでき、ますます街に親しみを感じるようになりました、今年から神戸マラソンも始まります。当事務所からも、私を含め数名が応募しています。皆様も、ご自分のペースでのんびり走り始められたら如何でしょうか?


憲法ミュージカル「ドクターサーブ」が神戸にやってくる!

2011夏号事務所ニュースより

弁護士 坂本知可

楽しみながら憲法の精神を体感するということ。

現在「大阪・神戸憲法ミュージカル2011」という企画に取組んでいます。

憲法ミュージカルとは、若手の弁護士の呼びかけによって始まった、様々な社会問題等をテーマにしたミュージカルを上演することを通して、憲法の精神を広く市民の方々に知っていただこうという趣旨の企画です。出演者は老若男女100名以上の市民の方々。ミュージカルのテーマは、アフガニスタンで医療活動のみならず農業、灌漑事業などを行い、多くの現地人の命を救う活動をされている中村哲医師の半生です。

神戸での公演は、2011年10月30日(日)14時半から、神戸文化ホール(大ホール)にて。是非とも足をお運びください。チケットは、当事務所にて取り扱っています。

宜しくお願いいたします。


三田事務所開設記念 法律講座のお誘い

三田事務所開設記念

法律講座のお誘い

皆様方のご支援を受け、弁護士法人神戸あじさい法律事務所が誕生し、三田市に事務所を開設しました。皆様方と親しくお話ができる場をと3回にわたり法律講座を開くことになりました。 是非、お誘い合わせの上おいでくださいますようご案内申し上げます。

第1回
6月11日(土)午後1時30分より午後3時
内容 多重債務と債務整理・破産・個人再生
講師 弁護士和田壮史、弁護士坂本知可

第2回
6月25日(土)午後1時30分より午後3時
内容 相続・遺言
講師 弁護士桑原至

第3回
7月9日(土)午後1時30分より午後3時
内容 成年後見制度
講師 弁護士前哲夫、弁護士瀬川嘉章

会場
三田市中央町4-5 三田ビル6階
(三田事務所が入っている同じフロアーです)

参加費
無料
参加ご希望の方は前日までに三田事務所まで必ずお電話でご連絡ください。
079-553-8815

主催 弁護士法人神戸あじさい法律事務所

事件報告1 裁判員裁判を振り返って

2011新年号事務所ニュースより

弁護士 和田壮史

1 2009年5月に裁判員裁判制度が始まって1年と半年が経とうとしています。当事務所でも、既に、私を含む数人の弁護士が裁判長裁判の事件を担当しています。裁判長裁判制度については、問題点も多々指摘されている一方で、今までの刑事裁判に変化をもたらしたという評価もされています。

2 一例を挙げます。供述調書とは、検察官や警察官がまとめた事情聴取の結果について、事情聴取された人が署名・押印した書面のことですが、捜査機関は捜査に有利な供述調書しか作成しないので、捜査機関の考えたストーリーどおりの供述調書が作成されてしまいがちです。今までは、この供述調書に重きを置きすぎた裁判が行われていたという批判が強くありました。

裁判員は、この供述調書の内容が事実か否か、客観的な他の証拠や証言と付き合わせて、慎重に判断している例が少なからす見られるようです。実際に、私が担当した裁判長裁判でも、私の依頼者が捜査機関に語った(とされてしまった)供述調書の内容が事実と異なっていると、裁判長が認定してくれました。

3 また、裁判長裁判では、裁判官も弁護人も検察官も、法律家間の約束事を、裁判具にきちんと説明するようになったということが特徴です。なぜ、反省をしていると被告人に有利な事情として扱うべきなのかといった、法律家の問では当たり前であった各ルールについて裁判員に納得してもらうために、一つ一つ理由を説明する必要が出てきたのです。このような作業は大変ですが、他方、私たち法律家が、もう一度ルールの意味を考えるきっかけになったとも言えます。

4 もっとも、裁判員裁判には、裁判員の負担軽減を目指すあまりに裁判所や関係者が争点を急いで絞り込み過ぎるという点等、様々な問題点が指摘されていることも事実です。

5 裁判員裁判は、今までの刑事裁判を変えるきっかけになるかも知れませんが、まだまだ規則の不備や運用面で改善すべき点も多々あると思われます。導入の是非を巡っても、未だ議論が続いています。この裁判長制度は2012年5月21日以降に見直しがおこなわれる予定です。どのような制度がふさわしいか、皆さんもお考えになってはいかがでしようか。


事件報告2 原爆症認定集団訴訟近畿弁護団活動報告

2011新年号事務所ニュースより

弁護士 坂本知可

被爆者(被爆音健康手帳の交付を受けた者)に対し、国が「原爆症」と認定すれば「原子爆弾被爆音に対する援護に関する法律」に基づき、医療特別手当(毎月137,430円)が支給されます。原爆に起因する病気にかかった人々にとって、この手当を受けることができることは非常に意義深いことです。

しかし、原爆症認定行政は、あまりにひどい状態です。原爆症の認定申請を行ったのに、国からは数か月も音沙汰なし、気がつけば2年も経過していた、などというケースがままあり、弁護団では、国の不作為の違法確認を求め、認定処分の義務付けを求める裁判を提起しています。また、認定を受けられるはすの人が却下処分を受ける場合も数多くあるため、そのような不当な処分に対しては取消を求める裁判を提起しています。原爆症の認定の要件には、「放射線起因性」と「要医療性」があり、医師とも連携して裁判を闘っていくことになります。

大阪で月に2回程開かれる弁護団会議では、毎回夜遅くまで議論が尽きません。弁護団員が書いた裁判用の書面については、大御所の弁護士、若手の弁護士を問わす、あらゆる席から、厳しい指摘が飛んできます。そのおかげで私も、日々打たれ強くなっているような気がします。

また、担当の原告の方との交流も日に日に楽しみになっています。原告の方から被爆当時のことをお聞きすることができるのは大変責重なことですし、それだけではなく、原告の方の人柄や趣味等に触れて人間同士の触れ合いが出来ていることに喜びを感じています。

高齢化している原告の方々に残された時間は長くはありません。出来る限り早期に原告の方々と喜びを分かち合えるよう、弁護団の一員として、引き続き奮闘してまいりたいと思っております。


沖縄ピースツアー報告

2011新年号事務所ニュースより

弁護士 桑原 至

桑原です。

他事務所の先輩弁護士から(半ば強引な)お誘いを受け、10月15日から3日間、兵庫弁護士9条の会主催の沖縄ピースツアーに参加してきました。

「リゾート気分で気軽に参加しなよ」との誘い文句とは裏腹に、1.米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学の視察、2.普天間基地周辺及び嘉手納基地の視察、3.糸数の天然壕「アブチラガマ」の見学、4.県立平和祈念資料館等の見学、5.現地の方々(ひめゆり部隊の生存者や嘉手納・普天間の基地爆音訴訟原告団及び弁護団等)との懇談等々、イベント盛り沢山で非常に内容の濃いツアーでした。ちょうど尖閣諸島問題を契機に反中感情が高まり、米軍基地の必要性について日本国内でも活発に議論がなされていた時期でもあり、ベストなタイミングで基地問題や戦争について深く学ぶ機会が持てたと思います。大きな収穫でした。

三日間のツアーを通じて、現地の方々の生の声を沢山お聞きすることができました。凄惨な沖縄戦を実際に紐験し、今もなお基地問題に悩まされる方々のお話は一つ一つが非常にリアルで、胸に突き刺さってきます。私は、母方の実家が沖縄ということもあり、沖縄にはこれまで何度も足を運んでいますが、祖父母や親戚が積極的にこのような話題に触れようとしなかったためか、今回ほど深い話を聞ける機会はありませんでした。普段は陽気な沖縄の人達の笑顔の裏には辛い過去と現実が隠されているということ、そして、自分が沖縄や戦争の実態についてほとんど何も知らなかったということを痛感させられました。

特に印象に残ったのは、ガイドの金城さんの「戦争下では誰も法律など守らない。あなた達の武器である法律は、平和が守られてはじめて機能するものなんだ」という言葉です。平和のために法律家としてできることは何か。いまだ明確な答えには辿り着けていません。大きな課題を頂いて神戸に帰って来ました。


司法修習生の給与制維持のため一層のご協力を

2011新年号事務所ニュースより

弁護士 深草徹

1 戦前の日本では、裁判官、検察官は司法官試補として公費で養成され、弁護士は、公費による養成から排除されていました。その結果、弁護士は、常に裁判官、検察官の風下に立たされてきました。

2 戦後いち早く、弁護士、裁判官、検察官のいずれもが対等、平等の地位に立ち、共に司法制度を担うべき存在とされ、官尊民卑の制度が改められ、現在の、統一、平等、公正な司法修習制度が設けられました。

3 この司法修習制度のもとで、司法修習生は、国家公務員に準ずる地位を付与され、それぞれ弁護士、裁判官、検察官のいずれを志望するかに関係なく、いずれにもなリ得ることを前提として、それぞれの職域の実務・理論の修習に専念する義務が課され、国家公務員に準ずる給与が支給されて来ました。

4 この司法修習制度のもとで育った多くの弁護士は、弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現にあるとの弁護士法1条の規定もあいまって、単なる私益の追及者ではな<、公益の担い手であるとの自覚をはぐくみ、公害や薬害に苦しむ人たち、大企業や国などの横暴と闘う人たち、障害者・高齢者など社会的弱者の権利、利益を守リ、或いは、冤罪事件をはじめ不当に刑事訴追を受けた人々の人権を擁護し、嫌疑を晴らすために奮闘し、大きな成果をあげてきました。

さらにこの司法修習制度のもとで、経済的困窮者であっても、誰もが頑張って司法試験に合格すれば、生活の不安なく、修習に専念することができるようになり、多様な経歴の持ち主に法律家への門戸が開放されてきました。

5 最高裁は、司法試験合格者の数が大量増員となり、給与制を維持するための予算の確保が困難になった、現行の給与制は国民の理解が得られないと勝手に決め込み、平成22年11月以後は、給与制を廃止し、貸付金制度にするとの法改正をしてしまいました。

残念ながら平成22年2月までは、日弁連はこれに抵抗できませんでした。ところが、そのころから司法修習生の驚くべき経済的困窮実態が次々と明らかにされ、同時に給与制は、現在の司法修習制度を支える要石であることが広く認識されるようになりました。そうして日弁連の新しい執行部のもとで、給与制維持の運動が急速に大き<盛り上がりました。私たちの事務所も、この運動に加わり、依頼者の皆さん等への署名を訴えさせて頂きましたが、約2500名もの署名が寄せられました。ご協力、本当にありがとうございました。

6 その結果、平成22年11月25日、給与制を1年間延期する、との法改正がなされ、その間に、その後の司法修習制度のあリ方についてきちんと検討することが各議院の附帯決議という形で確認されました。

ひとまず給与制は維持されましたが、この1年間にさらにこれまで以上の力を結集して、給与制が将来に亘って維持されるようにしなければなりません。一層のご協力をお願い致します。


育児休暇より復帰のご報告

2011新年号事務所ニュースより

弁護士 宮地奈央

約2年間の育児休暇を終え、1月より職場復帰することとなりました。子育てを通して多くの地域の方々と触れ合い、安心して子供を産み育てることのできる社会の実現は、あらゆる人々が安心して生きていくことのできる社会の実現につながると実感しました。このような社会の実現に向け、弁護士としてわずかながらでもお役に立てるよう頑張ります。

今後ともよろしくお願いいたします。


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