事務所ニュース

◆バックナンバー

2010年


修習生の給費制の存続を求める署名のお願い!

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 佐伯雄三

今回の事務所ニュースを郵送させていただいた方には、事務所ニュースとともに日弁連の署名用紙等を同封させていただきました。内容を確認していただき、皆様方の温かい署名を是非お寄せください。

私たちは弁護士になる前に、最高裁判所から採用されて1年間(以前は2年間)の修習をします。従来、修習期間の間は国から給与が支給されていましたが、今年の11月からは給与の支給がなくなり、必要な方にはこれを貸与するという制度への変更が予定されています。

法科大学院ですでに多額の借金をかかえている方もいる上に修習期間にはさらに借金をしなければならないのでは、弁護士として出発する時点で何百万円あるいはそれ以上の借金をかかえてしまうことになります。これでは、人々の人権を擁護し社会正義を実現するという使命を負っている弁護士としての役割を果たせるのか、経済的な力のないものは法曹への道を断たれてしまうのではないかという由々しき事態が生じかねません。

何としても、司法修習生に対する給費制(給与制)を継続させるために、皆さんのご協力を是非お願いする次第です。署名は、事務所までお届け下さるよう心からお願いいたします。


法律一口メモ 「総量規制の導入、上限金利の引き下げ」

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 瀬川嘉章

平成18年に改正された貸金業法等は順次施行されてきましたが、今年6月18日、改正の大きな柱である総量規制の導入、上限金利の引下がなされました。

総量規制とは、借入残高が年収の3分の1を超える者に対し新たな貸付ができないという規制です。借入の負担を感じさせないような宣伝により返済能力を超えた貸付(過剰貸付)が行われ、これが多くの悲劇を生んだことから導入されました。ポイントを何点か。

1、既にかる借入が年収の3分の1を超えていても従来通りの返済でOK。また返済期間を延ばすための借換もOK。
2、住宅ローン、自動車ローン等は3分の1を超えても借入可能。
3、クレジットカードを使ったショッピングは対象外。
4、新たな借入の際には、基本的に年収を証明する書類が必要。
5、主婦の方などは、配偶者の同意があれば合算した年収の3分の1まで借入可能。

上限金利の引下とは、いわゆるグレーゾーン金利の撤廃のことです。利率の上限は利息規制法で定まっており(20パーセント(10万円未満)、18パーセント(10万円以上)、15パーセント(100万円以上)、超過利息は払う必要がなく払った場合は返してもらえます。しかし、これを超える金利を設定しても29.2パーセントまでは刑事罰は課されませんでした(出資法)。

そこで多くの貸金業者はこの間の利率(いわゆるグレーゾーン)に金利を設定していました。グレーゾーン金利でも一定の要件を満たせば利息をとれるのですが(「みなし弁済」といいます)、多くの貸金業者はその要件を満たしていないにもかかわらず事実上グレーゾーン金利をとっていました(したがって、弁護士等が入って正式に清算すれば減額となり、場合によっては「過払い」となって返してもらえます)。このたびの改正では刑事罰の対象が20パーセントに引き下げられ、みなし弁済も撤廃され、いわゆるグレーゾーン金利はなくなりました。

法改正により多重債務による悲劇がなくなることを願うばかりです。お困りのことがあれば、御相談を。


入所あいさつ

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 桑原至

はじめまして、新人の桑原と申します。

大阪で生まれ育った私ですが、学生時代・修習生時代と、20代の大半を過ごした神戸の地で弁護士として活動できることを嬉しく思っています。

学生時代、市民の皆さんから無料法律相談を受ける活動を行っていました。それを通じて、多くの方々かが法律に関する困りごとを抱えていることを知り、法律で人の役に立つことができる弁護士を志しました。

念願叶って弁護士となりましたが、いまだに慣れない業務に悪戦苦闘する日々を送っています。それでも、事件が解決した後、依頼者の方から感謝の言葉を頂けることもあります。これまでも苦労が吹っ飛び、心の底から「弁護士になってよかった」と思える瞬間です。これからも一人でも多くの方々の力になれるよう、諸先輩方から教えを請いながら、日々の研鑽を重ねていければと思っております。

趣味はジョギングです。修習生時代に酒に溺れて激太りし、減量目的で始めたジョギングでしたが、風を切って走る感覚が爽快で、いつの間にかハマってしまいました。今でも時間をあれば近所の河川敷を走っています。来年開催される「神戸マラソン」が楽しみです。

今後とも、よろしくお願い致します。


入所あいさつ

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 坂本知可

皆様、はじめまして。坂本知可と申します。当事務所に入所して早や半年が過ぎました。

この半年間、法律相談を受けたり、事件を担当する中で、世の中で起きている問題の多様さ、複雑さに驚いてばかりの毎日でした。今後、より充実した法的サービスを提供できますよう、日々自己研鑽に勤しみたいと思っています。弁護団活動や自己の生涯のテーマである子どもに関する問題への取り組みは地道に継続し、日常の業務にもプラスになるようにしていければと思います。

それとともに、法的な問題以外にも様々な事に関心を持ち、柔らかい頭と心を手に入れたいと思っています。最近、新たに「写真」という趣味ができました。しばらく離れていた芝居にも関わっていければいいなと思っています。

どうぞ皆様、甚だ未熟な身ではございますが、今後とも温かいご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。


沖縄基地見学&伊江島マラソンツアーに参加して

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 坂本知可

この4月半ば、当事務所の和田弁護士、桑原弁護士とともに、大阪弁護士の方が主催した沖縄基地見学&伊江島マラソンツアーに参加してまいりました。

沖縄に到着するやいなや、普天間基地、嘉手納基地、辺野古を回ることとなりました。普天間基地は、嘉数高台公園展望台という基地からは少し離れた場所から見学したため、基地と周囲の町の関係が一目でわかり、「世界一危険な基地」と言われる所以を実感することができました。

次に向かった嘉手納基地では、米軍の戦闘機の発する爆音を実際に体験してみようと広大な基地を前にしばらく待っていたのですが、運悪く戦闘機が現れることはなかったので、道の駅の中に設けられていた爆音体験コーナーにて爆音を体験することにしました。体験コーナーで聞いた爆音からでも戦闘機の爆音の凄まじさが伝わってきました。いつか必ず再訪し、実際の爆音を自分の耳で確かめてみようと思いました。(本当はそれまでに基地が消えていたら最高なのですが。)

嘉手納基地の後、辺野古の海を訪れました。テレビでしか見たことのなかったキャンプ・シュワブを囲む有刺鉄線、団結小屋、そして辺野古の美しい海。この海を一度目にしてしまうと、普天間基地移設問題の行方は決して他人事ではないのだという気持ちがより一層強くなりました。

二日目は、朝からフェリーで伊江島に渡りました。伊江島は、本部港からフェリーで約30分のところにある島です。我々は、その伊江島の一大イベントである伊江島マラソンに参加しました。マラソン前には、桑原弁護士らと一緒に島の中心にそびえ立つ城山(タッチュー)に準備運動がてら登り、伊江島全体を見渡しました。田園風景の広がる平和な島。けれど、島の面積の35パーセントが米軍の基地なのです。

カンカン照りの午後、我々は走り出しました。アップダウンのあるコースと容赦なく照りつける太陽に、幾度となくこのままリタイアしてしまいたいなぁと思いましたが、沿道でフライパンを鳴らして応援してくれるおばあや、自主的に懸命に水をサービスしてくれる子ども達、マラソンって何?といった風に長閑に鳴いている牛・鶏などから元気をもらい、無事10キロのコースを完走することができました。

今回の旅は、沖縄の多くの側面に触れ、もっともっと沖縄について知りたい、考えたい、と思わせてくれた濃密な旅でした。


「法テラスをご存知ですか?」

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 増田正幸

弁護士にに法律相談をしたり、事件の解決を委任したいと思うときに、真っ先に問題になるのは弁護士費用のことです。

費用が用意できないために泣き寝入りをしりということのないように、弁護士費用を支払う余裕がない人のために、日本司法支援センター(略称「法テラス」といいます)が弁護士費用等を立て替える制度(法律扶助制度)を設けています。

法テラスに立て替えてもらった費用については毎月5000円から1万円ずつ返済をすることになりますが、金利はつきません。また、生活保護受給者などの毎月の立替金の返済が困難であるような場合には、立替金の返済の猶予や免除の制度もあります。

法律扶助を利用するためには、申込者及び配偶者の手取り月収額(賞与を含む)が表の基準を満たしていることが要件となります(離婚事件などで配偶者が相手方のときは配偶者の収入は合算しません)。

その他にもいくつか要件がありますが、法テラスに対する法律扶助の申請は当事務所の弁護士が代行いたしますので、詳しいことや用意しなければならない書類などについては、法律相談をされるときに当事務所弁護士に是非お問い合わせ下さい。


障害者自立支援法訴訟の行方

2010夏号事務所ニュースより

弁護士 和田壮史

「障害者自立支援法」という法律について、お聞きになったことはありますか?

この法律は、平成17年に国会で可決し、翌18年から施行されたものです。障がい者の福祉サービスを一元化し、障がい者が自分の意思で受けるサービスを選択することができるようになるという触れ込みでした。しかし、その内容には様々な問題があり、利用の対象となった障がい者や支援団体からは強い不満や不安が示されていました。

そこで、平成20年10月30日に全国8地域・29人(うち兵庫県7人)の障がい者の皆さんが原告となり、この法律が憲法に違反しているとして訴訟提起をしました(後に、第二次・第三次提訴と続く)。私も、弁護士になってすぐに、この訴訟に弁護団として参加致しました。

前述した様々な問題点のうち、訴訟で主な問題としたのは。この法律が障がい者がサービスを受けることを「利益」ととらえ、受けたサービス=利益に応じた負担を各障がい者に求めたことでした(応益負担」と言います)。一般的にに考えて、障がいが重い人ほど多くのサービスを受けなければ社会の一員として生活できなくなります。しかし、一般に障がいの重い人ほどお金を稼ぐことは困難です。応益負担の考え方では、このように、お金を稼ぐことが困難だが、より多くのサービスを受ける必要がある人に対して、より多くの負担を求めるということになります。このような人達は、結局、サービス利用は減っていました。訴訟では、このような扱いが憲法13条(幸福追求権)、14条(平等権)、25条(社会権)等を侵害すると主張しました。

当初、国は全面的に争っていたのですが、平成21年の衆院選で「自立支援法廃止」を公約に掲げた民主党政権が誕生してからは風向きが急激に変わり、平成22年1月に、国(厚生労働省)と、障がい者の意見を十分に踏まえることなく自立支援法を制定したことを深く反省し、新法の制定にあたっては障がい者の声を十分反映させる、等と記した基本合意を交わし、訴訟は取下となりました。

このように、訴訟自体は終結したのですが、今度はこの基本合意を国に守らせることが必要となっています。合意成立後に国と訴訟団との間で数度の会合が持たれているのですが、国は早速その態度を変化さえるような動きを見せています。

政治がそのように変化するのかは不明ですが、この基本合意は「国」との間の合意である以上、いかに政権が変わろうと、国には合意をきちんとまもる法的・道義的義務があります。自立支援法訴訟の原告の皆さんは、悩みに悩んで、ともかく一歩前身させなけれは、という思いから国との合意に至りました。合意の不履行はこの原告の思いを踏みにじることにもなります。

人は、いつ自分や家族が障がいを持つようになるか分かりません。また、障がい者が明るく社会参加している社会は、障がいを持たない者にとっても住みよい社会であることは言うまでもありません。皆様も、国の障がい者施策の行方についてしっかりと監視してい頂ければ幸いです。


お知らせ

お知らせ

このたび司法研修(第62期)を終了した桑原至弁護士と坂本知可弁護士が新たに私たちの事務所に加わることになりました。

桑原弁護士は大学生活を神戸で送り、坂本弁護士は中学、高校を神戸で過ごし、神戸が大好きな2人です。桑原弁護士は大学の法律相談部の活動を通じて、坂本弁護士は演劇活動の仲間から、人のために惜しまず汗をかくことの大切さを学びました。

この2人がその熱い気持ちによって大いに活躍してくれることと思います。そして、私たちの事務所にも新風を吹き込んでくれるものと期待しています。

未曾有の経済的危機を経て、人の生き方や国のあり方が問われている時代です。私たちは新しい仲間を迎え、平和と人権を守るためにいっそうの努力をしていきたいと存じます。

詳しくは、弁護士紹介のページをご覧下さい。

今後ともご指導とご支援を賜りますよう、よろしくお願い致します。


高齢者の雇用を守る

2010新年号事務所ニュースより

弁護士 増田正幸

わが国ではまだ多くの企業が定年を60歳としています。60歳と言えばまだまだ働ける年齢です。しかも年金の支給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられたため、定年延長が大きな課題となりました。

そこで、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が2004年に企業に対して、65歳まで定年を引き上げるか、定年の定めを廃止するか、60歳で定年に達した後も65歳まで継続して雇用する制度を設けるのか、のいずれかの措置を取ることを義務づけました。実際には60歳でいったん退職し、その後嘱託として65歳まで採用するという継続雇用制度を採用している企業が多いようですが、重要なことは企業に対して、法律が何らかの形で65歳までの雇用を「義務づけ」たことです。したがって、定年に達した労働者が希望する限り原則として雇用しなければなりません。企業が自由に有能な労働者を選んだり、都合の悪い労働者を排除することはできないのです。

民営化された郵便局でも継続雇用制度が設けられています。しかし、郵便局では定年後の継続雇用を希望する者に対して、定年前の人事考課の評点っが基準を上回ること、健康上就労に支障がないこと等の基準を設けて選考しています。その結果、少数派である郵政産業労働組合(以下「郵産労」という)の組合員の多くが面接の成績が悪いことを理由に継続雇用を拒否される事態が生じています。そこで継続雇用を拒否された郵産労の3名の労働者が2009年11月6日に継続雇用を求めて神戸地裁に提訴しました。

原告のみなさんは、面接のやりとりを振り返ってもなぜ「著しく低い」評価をうけたのかいまだにわからないと言います。人事考課の評点や健康診断結果に何の問題もないのに、わずか10分から20分の面接で適正な評価ができるのでしょうか。郵産労に対する差別であることは明らかです。

「原則として雇用を継続する」という法の趣旨が守られていないケースは郵便局に限らずまだまだたくさんあります。あなたやご家族の会社は大丈夫ですか?


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