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総括原価方式

弁護士 増田正幸

電気事業法は、電力を売ることを全国10の電力会社に独占させてきました。また、同法22条1項にもとづいて定められた「卸供給料金算定規則」は電力料金を「総括原価方式」という方法で計算することを認めています。

関西では電力の売買は関西電力(「関電」)が独占しています。私たちは電気なしには生活はできないので、関電が宣伝しなくとも関電から電気を買います。つまり、私たちには関電の宣伝は不要です。それにもかかわらす、関電が巨額の費用をつかってテレビやラジオでコマーシャルをしていたのは何故でしょうか。3.11の東日本大震災まで星野仙一さんが「日本の未来を考える」と言ってプルサーマルのコマーシャルに出演していたのはまだ記憶に新しいところです。今や、それが原発の安全神話を広げるためであったことは明らかですが、売上げに直接結びつかないような巨額の宣伝費を使えたのは何故でしょう。それを可能にしたのが、「総括原価方式」です。

「総括原価方式」というのは、電力料金の発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」として、その上に一定の「報酬」を上乗せした金額をもとに電気料金を決めるというシステムです。「総括原価」には発電所や送電設備の建築保守費用、燃料費、運転費用、営業費用(人件費、営業所の経費、広告費、自治体への寄付金)、減価償却費、諸税が含まれ、いくら経費をかけてもそのまま料金に含めることができます。報酬は固定資産や核燃料資産などの資産に一定の報酬率を乗じて決められます。資産が多いほど上のせされる報酬も大きくなるので、原子力発電所にどんなにお金を注ぎ込んでも、比例計算で報酬が懐に入ることになります。

電気事業法により、湯水のごとく広告費をつかって原発の宣伝をし、原発を次々造った方が儲かる仕組みができているのです。

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