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国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)について

弁護士 瀬川嘉章

今年5月、ハーグ条約への加入が閣議決定されました。ハーグ条約とは、国際結婚の破たんなどにより一方の親が16歳未満の子どもを他国(連れ去り親の本国など)へ連れ出した場合に、子どもをもとにいた国に速やかに返還させることを約束する取り決めです。条約締結国は、申立があった場合に、迅速かつ強制的に連れ戻しをすることになります。誰が子どもの面倒をみるのか(監護権の所在)はともかく、まずは「連れ去られたら連れ戻す」のです。世界で計48か国(先進国の殆ど)が加入しています。

他人ではなく親が子どもを本国へ連れて行った場合にまで連れ戻す必要があるのか、あるいは必要があるとしても強制力を用いることについて違和感をもたれる方も多いと思います。

しかし、一方の親が子どもを連れ去り別居することが犯罪をされる国も多く、根本的な認識の違いがあるようです。その点はともかく、連れ去られた子どもを個人の力で取り戻すことは困難であり「連れ去った者勝ち」を防ぐという点でこの条約の合理性は否定できません。

ただし、条約へ加入するとしても、我が国では抵抗感がある「人の引き渡し」(親子の引き離し)を現実にいかに行うか、また児童虐待を避けあるいは夫のDVから逃れるため子どもを連れて本国に避難したというような場合にも連れ戻すのかといった問題もあり、これらは今後も議論が必要なテーマであるといえます。

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