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取調べの可視化

弁護士 瀬川嘉章

平成15年4月の鹿児島県議選をめぐる「志布志事件」をご存じでしょうか。何人もの無実の方々が公職選挙法違反の疑いで身柄拘束され、連日警察による厳しい取調べを受けました。そして多くの方が厳しい取調べに屈し、実際は何もしていないのに「自白」(罪を認めること)してしまいました。裁判では、皆何もしていないと「否認」したのですが、「自白」が正しいのか「否認」が正しいのかをめぐり延々と審理が続きました。

この裁判では幸運にも、問題のある取調べによって虚偽の「自白」がされたと認められました(全員無罪)が、そもそも違法な捜査や長期にわたる不毛な裁判をなくすことが重要です。裁判で無罪とされても、被告人とされた方々は取り返しのつかない被害を受けるからです。このような悲劇をなくすためには現在密室で行われている取調べを。「全面可視化」(取調べの全過程を録画・録音)することが重要です。

志布志事件は決して他人事ではありません。どんな人でも、あらぬ疑いをかけられて身柄を拘束され自白をさせられてしまう危険はあります(身近な所では、痴漢冤罪事件)。一般市民には優しい警察官も、被疑者に対する取調べでは行き過ぎることはあるのです。

取調べの可視化は従来から重要性が指摘されていましたが、上記の志布志事件などが契機となり、法制化の気運が高まりました。去る6月4日参議院では全面可視化を主な内容とする法案が可決されたものの、衆議院では否決されてしまいました。今後も、法制化に向けての運動が必要です。

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